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コラム

フィードバック2.0

キツく言いうのもマズイけど、遠回しに言うと伝わらない

 9月も終盤、やっと少し過ごしやすくなってきましたよね。
 さて、ビジネスシーンに目を向けると、上半期が終わり人事評価の季節がやってきます。この半年を振り返って、頑張ったと胸張れる人、成果がでなかったとタメ息を吐く人、悲喜こもごもなんじゃないでしょうか。そして自身の成績に向き合う人事考課のフィードバック面談がやってきます。

 上司の立場でいけば、成果をあげたメンバーに評価を伝えるのは比較的簡単ですし、伝えるのも嬉しいものです。問題は、評価が低いメンバーにフィードバックする場合。「直接的に言うと傷ついちゃうよなぁ。でも遠回しに言っても伝わらないしなぁ……」といったような悩ましいシーンを経験した方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

 一方で、フィードバックされる側も、相当なストレスを抱えています。評価面談だけでなく、フィードバック全般に対するイメージを聞いてみたところ、ある若手社員は、「フィードバックと聞けば、ダメ出しのことじゃないですか?」と、苦笑交じりに語ってくれました。
 他にも「言葉をかえれば、『詰め会』ですよね」とか、「傷口に塩を塗り込む面談」とか、自虐的にコメントが続々と出てきます。いやはや、評判がよろしくありません。

立て直すための対話こそが本質

 フィードバックとは、もともと制御工学で使われる用語で、出力結果を入力側に戻し、出力値が目標値に一致するように調整することを指します。つまりは、求める結果との「ずれ」と「その原因」を行動側に戻すこと。これは、ビジネスシーンにおいては、できてないことを直視して軌道修正を促すことに他なりません。必然的に聞き手にとって耳の痛いことを告げられる機会が多くなります。

しかし、フィードバックの2つの要素は、本来、
・パフォーマンスに対する「結果の通知」を行うこと(スパイシーメッセージング)
・パフォーマンスの「立て直し、学び直し」を支援すること(ラーニングサポート)

という2つの要素から成り立たっているのです。

 ほとんどの場合、フィードバックと聞くと、パフォーマンスに対する「結果の通知」を行うことに焦点が当たりがちですよね。しかし、実は後半の「立て直し、学びなおし」こそが重要なのです。

辛口なことも言いやすくなる

 「結果の通知」はスパイシーメッセージングと言われる、まさにほろ苦い(耳の痛いこと)ことをきちんと伝えるプロセス。フィードバックが難しいと感じるのも、この「スパイシーメッセージング」のコミュニケーションに対してです。

 そのうえで、ラーニングサポートという「立て直し」のプロセスに移行します。結果の通知した後、部下に寄り添って、立て直しをサポートしていく。ここがフィードバックの本質なのです。
 スパイシーメッセージングではなくラーニングサポートに主眼におくと、不思議なもので辛口なことが言いやすくなります。ダメ出しっ放しではなく、軌道修正までつきあうぞというコミット感がベースにあることで、キツいことを言っても、ある意味で“取返しがつく”という感覚が芽生えるんでしょう。
 結果的に、耳の痛いことを伝えきることができ、道修正すべき点が明確になる。まさにラーニングサポートこそがフィードバックの本質たる所以です。

フィードフォワード

 このラーニングサポートのパートを「フィードフォワード」と呼ぶケースもあります。フィードバックのやり方を学んでいないと、目に付きやすい欠点や不足点ばかりを伝えたり、成長に向けた対話ではなく、過去への指摘ばかりになっていたりすることもあります。

 こういった事態を回避するためにも、結果という「過去」を通知するだけのフィードバックではなく、あえて「未来志向」の対話にフォーカスして「フィードフォワード」という言葉が使われるようになったのです。確かに、言葉ひとつで随分イメージ変わりますよね。

 そんなフィードフォワードで意識すべきポイントをひとつお伝えしておきましょう。「次回はどうするか?」という軌道修正案を具体化する時、一方的にこちらからアドバイスするのではなく、まずは本人に質問して、自ら考えてもらうこと。ここが肝です。

 人は外から与えられた答えよりも、自分が出した答えのほうが納得しやすい特性があります。フィードバックにお悩みの方、こうしたポイントも抑えつつ、フィードフォワードというスタンスで、この秋は部下と向き合ってみてください。