入社後の研修を終えた新人が現場に本配属される季節です。コロナがひと段落している今期は、多くの職場で親睦を兼ねた飲み会が開催されているはず。
しかし、今どきの若者は飲みニケーションを嫌がるとよく聞きます。そんな若手を飲みに誘って、パワハラと言われたら困るし、飲みの場で説教して古臭いオジサンやオバサンだと思われるのも……。なんか気を遣いすぎて、こっちが病みそう……。
そこで、飲み会で、若者たちにかけてはいけないNGワードについて考えてみました。
職場の飲み会に行きたい若者たち
昨年末に発表された飲みニケーションに関する調査は、面白いトピックスがふたつ伝えています。ひとつは、飲みニケーションが不要だという声が、初めて過半数を超えたことです。「不要」の割合を時系列でみると、比較的緩やかな増加傾向だったのが、2020年45・7%から2021年61・8%と急伸しています。
2つ目が、すべての年代で不要だと思う割合がほぼ同じだったこと。決して若者だけが飲みニケーションを嫌っているわけではない。このデータは、オトナも飲みニケーションにネガティブであるという事実を示しています。
しかし逆に捉えると、このデータは“飲みニケーションにポジティブな若者世代が4割も存在する”と語っているのです。
「いや、別に全部の飲み会が嫌なわけじゃないです。教えてもらいたいこともあるし、相談にも乗ってほしい。でも飲みに行ったら行ったで、だいたい説教じゃないですか。それか自慢話聞かされて、こっちはあいづちを打ってるだけ。あと絶対、2軒目行こうってなるし。そうなっちゃうと時間の無駄でしかないです」
ある若手社員のコメントです。飲み会でオトナから吸収するものがあると感じているんだけど、ただ希望する飲み会のカタチとギャップがあるから、ネガティブに映る。これが実態なんでしょう。
良かれと思って発したその言葉が……
つまり、若者にとって、実りのある時間となる飲みニケーションはウエルカム。だから、オトナ世代が遠慮しすぎる必要はありません。とはいえ、飲み会でのNGポイントがあるというのは知っておかないと、オトナ世代(特に上司)としては失格です。
むりやりお酒をすすめる、お酌を強要する、しつこく2次会3次会に誘うといったパワハラ系のコミュニケーションや、異性の若手に対してプライベートに踏み込みすぎるセクハラ系のコミュニケーションがNGだというのは、お伝えするまでもないでしょう。
問題は、良かれと思って発した言葉が逆に仇となってしまうヤツです。人生の先輩としての気遣いや真っ当なアドバイスをしたはずなのに、結果として若者のヤル気を打ち砕くことになるというのは残念すぎます。
「盛り上がっていたのに、その言葉をかけた瞬間、若者の心が離れていくだろうNGワードワースト3」を発表します。
NGワード3位「今日は堅苦しい仕事の話はナシ!」
いやいや、しましょうよ!仕事の話を。若者の飲みニケーションの目的をわかっていません。若者は貴重な時間を割いて飲み会に来ているわけです。先輩から教えを乞う、仕事の分からないところを聞くのが参加の主目的。ただただ仲良くなるための会話しかないと、若者には時間のムダでしかありません。
NGワード2位「オレの若い頃は、●●したものだ!」
今の若者たちは表面的な協調性に長けているので、オトナの話が響いた風のリアクションをします。多少酔いが回ると、そういう相槌についつい気が緩んで「俺が若いころはとにかくいろんなことに手を出してはめちゃくちゃやったもんだ」などと、次第に武勇伝全開に……。もうそうなったら最後、若者は耳をパタンと閉じてしまいます。死んだ目で、オートマチックに相槌をうち、オートマチックにお酌をするのみです。
NGワード1位「で、君はどうなりたい?」
若者のキャリアや将来を思っての発言なのは分かります。しかし当の本人たちだって、もちろんそんなことは日々考えています。できることならやりたいことを見つけたいと思っている。でも、できない。見つかる気もしない。そんな若者に、「で、どうなりたい?」とかぶせる言葉は、間違いなく、傷口に塩を塗り込むようなもの。もしキャリアの話をしたいのであれば、それは若者から問われた場合に限ったほうがよいでしょう。
最後に、若者との飲みニケーションを円滑にする簡単な方法をお伝えしましょう。それは、自分にとってやや煙たい存在の上司や先輩と飲みに行ってみることです。その飲み会でかけられる言葉が、「あーこういうのがNGなんだ」と気づかせてくれるはずです。反面教師が、あなたの飲みニケーションスキルを磨いてくれるでしょう。